2018年5月29日火曜日

気候変動による経済損失について

気候変動による経済的損失について若干まとめてみます。


気候変動適応法案が本国会に提出されました。この気候変動適応法案は変化している気候の状況に適応する為の法案であり、災害対策や農業、漁業、林業、医療、生態系変化など、気候に対する影響を受けやすいことに対しての対応を自治体、企業、国民の皆さん、行政が連携して対応策、適応策を考えていくという事です。

しかし、この適応策は、温室効果ガスの排出量を極力減らしていき、気温上昇を抑えていくという「緩和策」が大前提であるのは間違いありません。


では、企業、国民の皆さん、自治体はこの気候変動に対して生活や、経済的損失についてどう認識しているか、と考えるとまだまだ結びついていないという実情はぬぐえないと考えます。イギリスでは「気候変動法」という法律が2008年に制定され、明確な目標をか掲げた上で緩和策、適応策に取り組んでいます。

こうした日本の状況を打破するためにも気候変動適応法案には期待をしているところです。

では、実際、気候変動影響が進むことにより、起こりうる経済損失について提言をまとめてみました。茨城大学 地球変動適応科学研究機関長 三村信男教授は気候変動が進めば複合的な被害に見舞われると指摘しています。

①もっとも重要な食料源であるコメの安定供給への影響
2050年ころまでに近畿・四国地方のコメの収穫量は5%減少し、北日本(北海道、東北)では26%増える。

②洪水をはじめとする自然災害の深刻化
西日本の沿岸部では130万人が高潮による洪水被害を受けると予測。

③熱中症や伝染病による死者増大
低い確率で熱中症で死に至る可能性がある人の数は2100年まえに2倍となり、高い確率が高い人々においては5倍に跳ね上がる。

デング熱を広げるヒトスジシマカの北限は戦前では群馬県であったのに対して現在は青森県となっているなど生態系の変化による感染症拡大。

④日本の重要な自然生態系の一部を変化させ被害を与える。

⑤高齢化問題をかあええる自治体や医療制度への負担拡大。

という点を指摘しております。


さらにイギリス財務省が委託して作成した、気候変動問題の経済的側面に関するレビュー、ニコラス・スターン(元世界銀行チーフエコノミスト)の「スターンレビュー」では、

「今行動を起こせば、気候変動の最悪の影響は避ける事ができる。経済モデルを用いた分析によれば、行動しない場合、毎年GDPの少なくとも5%、最悪の場合20%に相当する被害を受ける。対策コストはGDP1%程度しかかからない。」

と要点を述べています。

『対策をしなければ対策コストの5倍から20倍もの経済損失が起きますよ』と指摘している訳です。

さらに、名城大学の落合、大洞、大野氏らが「海面上昇による沿岸域の経済損失とその波及被害の計測」にて伊勢湾地域が海面上昇1mによってどれくらいの経済損失、直接被害が及ぶかを試算しています。結果は20兆円以上。これは伊勢湾のみのデータですから

日本本土の湾にそれぞれ被害が及べばとてつもない経済損失になることは容易に想像できます。


このように重大な問題を引き起こす気候変動に対して、緩和策を企業、行政、国民の皆さん、市民団体が連携して取り組む必要がある事はもっとも重要でありますし、今から全力で、そして最速で取り組まなければいけない事です。

しかし、本日5月15日、参考人質疑でWWFジャパン、気候ネットワークさんからもご指摘をいただいた様に、各国の緩和策で掲げている目標よりも日本は大きく後退した対応であると言わざるを得ません。

官民ともに、と言われますが、国民の皆さんには省エネを呼び掛けておいて国策では石炭火力の新増設や、海外輸出と、逆の方向に進んでいるという状況であります。

国民の皆さんの生活、命、健康だけではなく、経済損失を未然に防ぐためにも緩和策に対して全力で取り組む必要があります。

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